スピリチュアリティ、は、精神性、と訳されることが多いですが、心や精神、さらには無意識や魂にも通じる、人間の「霊的な部分」、自分の価値や生きることの意味を感じていることとか、生きていくうえでの目的意識、そんなものも含めた、自分の心と魂のあるべき姿、と言ってみてもよいかもしれません。
肉体で存在している間は、心と体は一体ですから、心が病めば体も病み、心を健康に保てば、体も自ずと健康になります。
心と体が一体なので、心と魂の健康は、それとターゲットを絞らなくても、「健康」を占うときには、問題があれば必然的に、カードに現れてきます。体は健康で充実しているけど、心の中は病だらけ、ということはありません。たとえ一見そう見えても、心の中の問題が一時的にカモフラージュされているだけで、いずれ体に現れてくるものです。
とはいえ、占いをしていると、心の問題に限った相談を受けることも、もちろんあります。
心の傷、トラウマ
心の中に、傷やダメージをまったく受けたことがない人は、おそらくいないでしょう。
「自分は傷ついたりしない」と言っている人ほど、無意識に、何かを恐れていたり、心の奥深くにトラウマを負っていたりすることもあります。そうした過去の「傷跡」のせいで、日常生活が多少なりともギクシャクしたり、それこそ専門家のケアが必要なくらいに、恐怖や不安感で悩む人も少なくありません。
占い、特にルノルマンは、優れたシンボリズムのおかげで、こうした「心の奥深くの問題」を占うことができます。
占い方
レッスン3で、出来事や象徴の読み方を学びましたが、それとまったく同じ方法で、ある人の心の傷の正体や、本人が表層の意識では忘れてしまっているような過去の経験を、カード上に再現することができます。違いは「時間軸」、つまり、読むのが未来の出来事か、それとも過去の出来事か、というだけです。
ですから、トラウマや心の傷の原因や正体を占う「方法」そのものは、何も難しいものではありません。
たとえば自己嫌悪やコンプレックス、罪悪感、自殺願望…その心の傷がどんなものであれ、このような傷、あるいは恐れや不安を抱えているのは、なぜなのか、どんなことが原因だったのか、過去に何があったのか、とカードに聞けば、カード上に、その原因となった出来事や、当時の具体的な状況などが再現されるでしょう。
スプレッドは、
などの、状況や出来事を描写するのに適したものであれば、いずれも有用です。
注意点
とはいえ、占うことは難しくないからと、恐れや不安を感じている人に、安易にこの占いをしてしまうと、大変なことになりかねません。
たとえば世の中には退行催眠といって、催眠術で、ある出来事が起きた時に人の意識を戻して、記憶をひもとき、真実を探る方法がありますが、記憶をシャットアウトするほどのショッキングな出来事に、再度向き合うわけですから、本人がよほど「大丈夫」と思っても、実際には拒絶反応が起きたり、そこで無理をするともっとひどく心を傷つけてしまうことにもなりかねません(ですから訓練を受けた専門家の分野です)。
それで、トラウマや心の傷について占ってほしいと、仮に誰かに求められたとしても、それは本来ならその道の専門家(精神科医やカウンセラー、セラピスト等)に依頼すべきで、占いが力になれるとは限らない、とまず伝えるのが最善です。
もし、それでもいいから、あるいは、すでにカウンセリングを受けているけど納得できないなど、本人の強い希望がある場合は、「カードが示すことを伝えるだけ」という条件で、受けることができるでしょう。
カードが示すことを伝えるだけ、というのはつまり、カウンセリングのようなことや、占いの結果生じるかもしれない本人の心の乱れについては、占いではケアはできない、ということです(もちろん、その道の資格をお持ちの方であれば、この限りではないでしょう)。
過去の出来事をカード上に再現して、当人の記憶の扉が開かれた時、その人がどんな反応をするのかは、心の傷が深ければ深いほど、全く予測不可能です。大丈夫、と言っていた人が、取り乱し、占い師を責め始めて、収拾がつかなくなることもあります。
人の心の問題を占うことには、そういうリスクがあるということを、よく理解しておく必要があります。
精神疾患について
これとはまた別の問題として、「精神疾患」があります。
ルノルマンカードにはたとえば、分裂病(統合失調症)や多重人格(解離性障害)を表しうるカードもありますが、本当にこれらの病気を患っている人から直接依頼を受けることも稀であること、そしてなにより、精神疾患は「疾患」であり、占い師ではなく医師の担当で、時に肉体の病よりも対処が難しいものですから、基本的には占いの対象からは外しておくのがよいでしょう。
精神疾患があることが前提ではないケース(本人や相談者が精神疾患を疑っていないケース)で、
- 当人や周囲の悩みが深刻で、被害なども出ており、さらに
- 行動上・心理上の問題を占った場合に、ネガティブなカードが全体の8割以上(5枚のうち4枚以上、3枚ならすべて)を占めており、
- 未来にもポジティブなカードが見られない
という条件が揃った場合は、「本人の力だけでは抱えきれないような重荷を、心に秘めているかもしれない」ということを伝え、専門家の助けを得るように促すのがよいでしょう(精神疾患と決めつけたり、病名を挙げたりは、決してしないでください)。
特に、棺、十字架、蛇の3枚に、ネガティブではないですが傷つけることや暴力も意味する「鎌」や「鞭」が揃っているようなケースでは、自分や他者を肉体的にも傷つける可能性があるので、専門家を頼るように伝えてください。
普段、占いをしていて、このような極端なケースに出会うことはないかもしれませんし、上の3つの条件が揃っていない場合は、それぞれ別の意味で出ていることもありますから、この組み合わせは危険人物!のように決めつけないことも大事です。
健康、とくに心の問題を占うときは、くれぐれも慎重に。これだけ、忘れないようにしてください。
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