5枚クロス・スプレッド

質問の答えを端的に知りたいときに

このスプレッドは、フランスのルノルマン本のなかではフランス国内で最も評価が高い一冊という「PETIT LENORMAND – METHODE DE CARTOMANCIE」(Mary Marco & Jeanine Goffinet 共著)の中で紹介されているものです。

本の中でのスプレッドの名称は、「Réponse immédiate à une question précise en 5 cartes」(5枚のカードが告げる、具体的な質問に対する端的な答え)という、明快だけれどもとても長い名前だったので、こちらではニックネームとして、見たままの形から「5枚クロス・スプレッド」と呼ばせていただくことにします(^^)

占う前の注意

このスプレッドの注意点としては、「聞きたいことは必ず1つに絞り、明確に尋ねること」とあります。これは他のスプレッドでももちろんそうなのですが、5枚で「端的に」答えを得ることが目的のこのスプレッドでは、とくにそう言えるでしょう。

たとえば、「別れた彼と復縁したいのですが、できますか?彼はどう思っていますか?」のような、知りたいことが二つ以上(復縁できるか、と、彼の気持ち)含まれている質問は、別々に切り分けて、「彼と復縁できますか」をこの5枚クロスで占い、彼の気持ちはツーカードの変形(シグニフィケーターを使うバージョン)やスリーカードで占うなど、「一度に一つずつ」占うように整理しましょう。

そして、補助シグニフィケーターが必要な場合は、シャッフル前に“設定”しておくことを忘れないようにしましょう^^

展開のしかた

カードをシャッフルしたら、1~5まで次のようにカードを展開します。

※カードを並べる順番に注意:真ん中のカードが最後のカードになります。

1…質問者自身が及ぼす影響。プラスまたはマイナスになる行動など

2…援助または障害。相手がいる質問の場合は、相手が及ぼす影響、相手のポジティブまたはネガティブな反応

3…過去から現在に至る流れとその影響(質問の答えの取っ掛かりとなるカード)

4…質問の答え。1~3をふまえた結論(最も重要なカード)

5…総括(1~4の答えを裏付けるカード)

占例

相談者:イギリス在住のWさん(女性)。

Q:都会での生活に疲れ、夫婦で早期退職して、一家で田舎に引っ込んで3年。これまでは退職金でやりくりしてきましたが、せっかくなので家族みんなでできる仕事を持ちたいと、小規模の牧畜(牛、羊など)をスタートしたところです。家族は、私、夫、中学生になる娘の3人。娘も家畜の世話をとても楽しんでいる様子。つつましく暮らすことが目標なので、収入は生活に必要最低限あればいいのですが、たった3人、家畜の数も限られた小さな農場なので、先々に不安はあります。新しい家業の未来は順調に運ぶでしょうか。

【シグニフィケーター】

夫:28男性

妻(質問者):29女性

【補助シグニフィケーター】

娘:13子供

娘さんは未成年で今は両親の手伝いの立場。家業とはいえ通常ならメイン・キャラクターには加えませんが、Wさんご夫婦はいずれお子さんに家業を継いでほしい思いもあるそうなので、念のため娘さんにもシグニフィケーターをあてがっておきました。

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シグニフィケーターはとくに登場しませんでした(^^)

1…質問者自身が及ぼす影響。プラスまたはマイナスになる行動など

【30 ゆり】

Wさんの知恵や経験が役に立ちそうです。また、成果や先々を焦らずに、じっくり腰を据えて、のんびり取り組んでいくことが良い結果につながるでしょう。

2…援助または障害。相手がいる質問の場合は、相手が及ぼす影響、相手のポジティブまたはネガティブな反応

【26 本】

本を読んだり調べることで、有用な知識やヒントを得られそうです。このカードには「まだ未知のことがある」「驚き」といった意味もあるので、今の時点では予想だにしていない、びっくりするような展開が、今後待ち受けていそう。

3…過去から現在に至る流れとその影響(質問の答えを導くカード)

【17 こうのとり】

より良い生活を求めて、都会から現在の場所に移り住んできたことを表しています。以前に比べて暮らしはつつましくなっているとはいえ、全体としては「前より良くなってきている」と言えるようです。新しい家業も、この良い流れの一つということでしょう。

4…質問の答え。1~3をふまえた結論

【4 家】

家族、そして安定、確かな土台を意味するカード。新しい家業は、家族の協力がよい土台となって、しっかり確立されていきそうです。家のカードには伝統を守る意味合いがありますので、家業としてお子さんやお孫さんにいたるまで、代々定着していく可能性も読み取れます。また、家は暮らし向きの良さを暗示もしますので、3のこうのとりのカードと合わせてみても、家業に支えられて今後も暮らしは上向いていくでしょう。

5…総括。1~4の答えの裏付け・確証

【3 船】

未知の世界への旅立ち、そして拡大を表すカードです。新しい家業は、まだまだこれからも良い意味での驚きや、未知の体験が待っていますが、Wさんが考えている以上に、発展性がある仕事と言えるようです。船には海外の意味もあるので、なんらかの形で海外との取引が生じる可能性もあります。

総合判断

都会から田舎に引っ込んだことで、生活はつつましくなったとはいえ、全体には、家族の暮らしはよくなっている途上のようです。始めたばかりの家業も、その良い流れの一つ。まだこれから新展開や、びっくりするような出来事もあるかもしれず、仕事としてはWさんが思っている以上にたくさんの可能性を秘めたものと言えそうです。今後は、家族の協力がよい土台になり、家業としては安泰、暮らし向きも向上していくでしょう。アドバイスとしては、先のことを焦らず、ゆっくり、のんびり、平和な田舎暮らしのよさを大切に、取り組んでいくこと。Wさんの知恵や経験が多いに活かせる場面があり、また本を読んだり調べたりすることでプラスになることもあるようです。そうすることで堅実な家業として定着し、将来的にはお嬢様にバトンタッチも可能になるはずです。4の位置に「家」が出ているので、仕事の規模はあくまで「家族経営」「小規模農業」にとどまる(大規模農業に転じるとか富豪になるといったことはない)でしょうが、海外との取引や、農場自体の拡大くらいはありうるかもしれません。

リーディングのポイント

真ん中の、5枚目のカードが他のカードのすべての「裏付け」「確証」になりますので、最後の総括に来て初めて読むのではなく、1~4のカードを読む際にも参照しながら各カードを解釈していくとよいでしょう。

ご質問はコメント欄にどうぞ(^^)

シグニフィケーターの役割と使い方(応用2)

ルノルマンカードのシグニフィケーターは、すでに学んだとおり、28番男性と29番女性の2枚ですが、占う内容や状況によっては、その2枚とは別に、特定の人物を表すカードがほしい場合もあります。

たとえば子供のことを占いたい場合は、男性や女性は成人した人物なので、子供をあらわす他のカードがほしい所ですね。姑との間で起きているいざこざを占う場合は、夫(28男性)と妻(29女性)の他に、姑を表すカードをあらかじめ決めておくことができるなら便利です。夫婦で同じ職場に勤務していて、なおかつそこに、特定の上司や先輩、同僚が関係しているような場合なども、同じことが言えます。

そのような場面では、「登場人物リスト」の一覧を使って、「補助的なシグニフィケーター」をあらかじめ設定しておき、リーディングで活用することができます。

補助的なシグニフィケーターを使う際のポイント

1)補助シグニフィケーターはあらかじめ設定しておく

補助的なシグニフィケーター(以下、補助シグニフィケーター、と呼びます)を使う際は、占う人が、カードをシャッフルする前に、あらかじめ決めて、心の中で「設定」しておく、ということが何より大事。「設定」をしないで出てきたカードは、人物をあらわしているかもしれないし、いないかもしれませんので、通常のリーディングのとおりに、周りのカードで判断することになります。たとえば、友人のYさんとの関係を占う際は、「犬」のカードをYさんとして「あらかじめ設定」して占った場合、犬のカードが出てきたらそれは必ずYさんを指しますが、とくに誰と設定せずに出てきた「犬」のカードの場合は、Yさんかもしれないし、Yさん以外の友人かもしれないし、信頼という意味かもしれません。

2)設定は必要最低限に

もう一つ大事なこととして、あまり詳細に、いくつものカードを設定しすぎないことも注意しておきましょう。

たとえば仕事のプロジェクトについての占いで、同じプロジェクトチームの一人、Xさんが問題を起こしているケースがあるとします。Xさんの動向が質問者にとって未来を左右するほどの存在であるなら、「犬」のカードをXさんにあてがっておいてから占いをしてよいですが、それほどでもない場合は、質問者のシグニフィケーター一枚で十分です。なぜなら、犬のカード=Xさんとして設定されてしまっていると、たとえばチームの間の信頼関係を表す場合など、カードの側が自由に「犬」を使えなくなってしまうからです。

ルノルマンのシグニフィケーターの仕組みは便利なので、誰も彼も補助シグニフィケーターをあてがっておけばもっと便利に簡単に読めるようになるかというとそうではなく、かえって占いが煩雑になるリスクの方が高いです。

ですので補助シグニフィケーターは、質問や状況の中で特定の役割を担っており、その動向が未来に影響する「重要人物」にのみ絞って、「必要最低限」を心がけて使うことがポイントです。

補助シグニフィケーターの設定のしかた

原則1

補助的なシグニフィケーターを設定するさいは、基本的に、質問者(シグニフィケーター)との関係で人物(カード)考えます。たとえば「15熊」は通常、直属の上司に限らず社長や大富豪も表すカードですが、補助シグニフィケーターとして使う場合は、質問者の上司は役職に関わらず誰でも(社長であっても取締役であっても係長でも)「熊」のカードをあてがうことができます。なぜなら補助シグニフィケーターとしての「熊」のカードは、役職や人物像というよりは、「質問者の上司であるXさん」を代表しているにすぎないからです。

もし質問者が個人事業者、あるいは企業の社長である場合は、質問者のシグニフィケーターは「28男性」または「29女性」ですので、熊のカードは浮かせておくことになるか、質問に関係あるなら質問者の母親の補助シグニフィケーターとして使うこともできます。

原則2

2枚以上のカードが当てはまる人物の場合は、

1)占いのテーマは何か?をまず考え、補助シグニフィケーターリストの上位の(上の方の)テーマの中から選ぶ

2)同一テーマの中の場合、カードの並び順が上の方のもの(カードの優先度が高いもの)を選ぶ

たとえば家族経営の仕事で悩んでいる人の相談で、父親が社長(質問者の上司)である場合は、父親の「補助シグニフィケーター」はどのカードになるでしょうか?父親を表す「ゆり」でしょうか、それとも上司を表す「熊」でしょうか。

この場合、「家庭」と「仕事」と二つの側面があるわけですが、補助シグニフィケーターのリストでは「家庭」のほうが「仕事」よりも上位のテーマになっています。ですので、この場合は「家庭」のリストの中から選ぶことになり、質問者の社長でもある父親の補助シグニフィケーターは、「ゆり」のカードということになります。

ただもちろん、確かに続柄的には父親だが、家族としてのつながりは質問者にとって薄く、社長としての存在が圧倒的に強い、というのであれば、父親の「ゆり」ではなく、上司のカード「熊」を使って構いません。

例外:万能シグニフィケーター

例外的なケースが1つだけあります。それは、質問者が独身で、現在とくにおつきあいしている相手もいない場合。質問者のシグニフィケーターの対となるもう一枚のシグニフィケーターを、「万能シグニフィケーター」として、男女にかかわらず、誰であれ「重要なもう一人」を表すカードとして設定して使うことができます。

(万能シグニフィケーターというのは、ナオミ・ノアが便宜上使用している独自の呼称です)

たとえば質問者が女性、独身で、同僚の女性Qさんとのことを占いたい場合は、「29女性」が質問者、「28男性」をQさんとして占うことができます(カードの性別は無視)。

同様に、質問者が男性、独身で、上司のP氏(男性)とのことを占いたい場合は、「28男性」は質問者、「29女性」はP氏として占うことができます(カードの性別は無視)。

万能シグニフィケーターを使うメリットはなにより、規定のシグニフィケーター2枚以外のカードを“占拠”しなくてすむ、という点です。

もちろん、こうした場合でも、補助シグニフィケーターを使って占いをしても構いません。ただしその場合は、「対となるシグニフィケーター」が誰のことも指さなくなり、カードの中で“浮く”ため、想定外にひょっこりスプレッド上に登場してきた場合は、「それが誰なのか?」、周りのカードから判断するか、判断つきかねる場合は別途占うようにしましょう。

対のシグニフィケーターを切り離す場合

質問者が既婚、または特定のパートナーがいる場合は、28男性と29女性はそれぞれ、質問者とそのパートナーを表すというのが、ルノルマン占いの大原則でしたが、特定のケースで「自分の配偶者やパートナーは一切関係ない」と100%断言できるのであれば、対となるシグニフィケーターを自分のパートナーから切り離して、「万能シグニフィケーター」として使うことも、できないわけではありません。

しかしながら、現実の人生において、結婚していたり付き合っている人がいる場合に、その人が、たとえ仕事の悩みだからと、「100%関係ない」という状況は、なかなかないものです。現実の出来事やシチュエーション上は絡んでこなくても、陰で質問者の心の支えになっていたり、あるいはパートナーが無意識のうちにストレスの原因になっていて、その結果仕事に支障が出ていた、ということだってあります。

結婚など「特定のパートナーと人生・生活を共有している」立場で、質問者に関係のある物事を占う以上は、パートナーが直接関係ないと思われる状況であっても、対のシグニフィケーターはパートナーを指すものとして取っておく方が賢明と言えるでしょう。

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コンビネーション・リーディングの方法と読み方のポイント

コンビネーション・リーディングは、ルノルマン占いの基本的なテクニックの一つで、隣り合う2枚のカードを関連させて読む方法のことを言います。(隣り合っていないカードをランダムに組み合わせることはしません)

これまでのレッスンでも、実は、いろんな場面で自然にコンビネーションをしながら、カードを読んできていますが、改めて、コンビネーションのテクニックの主だったものを、どのように読むのか、整理しながら学びましょう。

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